2014年6月6日
在デトロイト日本国総領事館
1.中東呼吸器症候群(MERS)の発生と拡大
(1)MERSコロナウイルスによる感染症の感染例が増加、
感染発生地域も拡大しています。中東呼吸器症候群(MERS:
マーズ)の感染例について、最新の状況をお知らせします。
・イランにおける新規感染者報告
報道等によれば、5月26日、イラン感染症管理対策センターは、
イラン国内での初のMERS感染例および疑い例が確認されたと公
表しました。感染が確認されたのは2名で、
うち1名は死亡したとのことです。
・アルジェリアにおける新規感染者報告
現地報道によれば、5月31日、アルジェリア保健省は、
メッカ巡礼より帰還したアルジェリア人男性2名が、
コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表しました。
このほか、サウジアラビア、
ヨルダンなどで新規感染例が報告されています。
ヨルダンの事例は、首都アンマン在住の69歳の男性で、
海外渡航歴および動物との接触歴等は特に無かったとのことです。
ただし、この患者が治療を受けていた病院は、
5月6日にMERS死亡例が報告された患者が確認された病院だっ
たとのことです。
5月28日付WHOの発表では、
2012年9月以降に報告されたMERS感染例は計636例、
うち死亡例は193例となっています。これには、
5月16日から18日の間に、
サウジアラビアから報告された17例が含まれていますが、
上述のイランおよびアルジェリアの事例は含まれていません。
MERSコロナウイルス感染者が確認されている国は次のとおりで
す:
サウジアラビア、イギリス、イタリア、ヨルダン、フランス、
チュニジア、カタール、アラブ首長国連邦、クウェート、
オマーン、スペイン、マレーシア、エジプト、米国、オランダ、
イラン、アルジェリア
※ フランス、イタリア、チュニジア、英国では、
中東への渡航歴がなく、
感染確定患者や感染疑い患者と濃厚接触者との間で、
限定的な地域内感染が見られています。
(2)WHOは5月14日、
MERSに関する緊急会合を開催しました。同委員会では、
MERSの流行状況は公衆衛生上の深刻さを増しているものの、
現時点で持続的なヒト-ヒト感染を裏付けるものはないため、「
国際的な公衆衛生上の脅威」には至らないと結論づけられました。
しかしながら、同委員会は、
公衆衛生上の懸念は大幅に増大しているとしており、
最近の感染例の急激な上昇に対し、WHO加盟国に対して、
この脅威に対する対策強化に努めるよう求めています。
2.MERSコロナウイルス感染について
(1)一般的にコロナウイルスは飛沫感染や接触感染で伝播し、
風邪などの症状を引き起こします。
通常その毒性はそれほど強くありませんが、
ウイルスが変異した場合は強い毒性を持つ可能性もあり、
注意が必要です。
コロナウイルスに対する具体的予防策は以下のとおりです。
● 休息、栄養を十分に取り、体に抵抗力をつける。
● 手指等の衛生保持に心掛ける。
● できるだけ人混みを避けるか、マスクの着用を励行する。
● 咳やくしゃみの症状がある患者とは、
可能な限り濃厚接触を避ける。
● 温度の変化と乾燥しすぎに注意する。
● 高熱、咳、呼吸困難等の症状が見られた時は、
早めに医師の診断を受ける。
(2)WHOでは、サウジアラビアへ渡航する巡礼者に向け、
以下の暫定的な注意事項を公表しています。
その1:渡航前にしておくこと
・糖尿病、呼吸器疾患、免疫不全などの基礎疾患がある方は、
一般的にMERSコロナウイルスを含む感染症にかかりやすいとさ
れているため、渡航前に医療機関を受診し、相談してください。
その2:渡航中に注意すること
・一般的な衛生対策を励行しましょう。
石けんと水でよく手を洗いましょう。ハンド・
ジェルなどの手指消毒薬の利用も有効です。
十分に加熱されていない肉や不衛生な食品を摂取しない、
あるいは野菜やくだものは食べる前によく洗うなど、
食品の衛生面に注意しましょう。
良好な衛生面の維持を心がけましょう。
農場の動物、家きん、野生動物を含め、
動物との不用意な接触は避けましょう。
・旅行者に、呼吸器系疾患の症状(特に発熱、咳、
呼吸困難を伴うもの)や、
他にも下痢や嘔吐を伴う症状が現れたら、
次のことを心がけてください。
感染拡大を予防するために、
他の人との接触は最小限にとどめましょう。
咳やくしゃみをするときは口や鼻をティッシュペーパーで覆いまし
ょう。また、使用したティッシュペーパーはゴミ箱に捨て、
手をよく洗いましょう。ティッシュペーパーがない場合は、
手ではなく衣類を用いましょう。
同行している医療従事者または地域の保健当局に報告しましょう。
その3:渡航後に注意すること
・帰国後2週間以内に発熱・
咳を伴う重症の急性呼吸器疾患の症状が現れた場合には、
医療機関・検疫所にご相談ください。また、
症状のある渡航者の濃厚接触者に発熱・
咳などの症状が現れた場合には、速やかに最寄りの医療機関・
衛生当局に報告してください。
○参考情報
国立感染症研究所感染症情報センター:MERS(マーズ)
コロナウイルス(MERS-CoV)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/component/content/article/2186-infectious-diseases/disease-based/ka/hcov-emc/idsc/2686-novelcorona2012.html
「
MERSコロナウイルスによる感染事例に関するリスクアセスメン
トと対応」
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/alphabet/mers/2186-idsc/3631-mers-riskassessment.html
FORTH:中東に渡航する方へ <中東呼吸器症候群に関する注意>
http://www.forth.go.jp/news/2014/04241138.html
WHO:Global Alert and Response/ Coronavirus infections(英文)
http://www.who.int/csr/don/archive/disease/coronavirus_infections/en/index.html
アメリカ疾病予防管理センター:Middle East Respiratory Syndrome (MERS)(英文)
http://www.cdc.gov/coronavirus/mers/index.html?s_cid=cdc_homepage_whatsnew_004
(問い合わせ先)
○外務省領事サービスセンター(海外安全相談担当)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
○外務省領事局政策課(医療情報)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2850
○外務省海外安全ホームページ:
http://www.anzen.mofa.go.jp/
(携帯版)
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp
(現地大使館・総領事館)
※上記外務省海外安全ホームページをご参照ください。