2014年5月23日金曜日

渡航情報(感染症広域情報:MERSコロナウイルスによる感染症の発生について)(更新)

1.中東呼吸器症候群(MERS)の発生と拡大
(1)MERSコロナウイルスによる感染症の感染例が増加、感染発生地域も拡大しています。
 中東呼吸器症候群(MERS:マーズ)の感染例について、最新の状況をお知らせします。

・オランダでの新規感染者報告
 5月15日付けWHOの報告によると、5月14日、オランダにおける初めてのMERS感染患者が確認されたとのことです。感染者は70歳のオランダ人男性で、発症直前にサウジアラビアに旅行していました。さらに翌15日、この感染者の接触者調査により、2例目の感染者が確認されました。2例目の感染者は73歳のオランダ人女性で、男性の家族であり、この男性とともにサウジアラビアを旅行していたとのことです。男性は集中治療室に、女性は発熱と軽度の呼吸器症状があり、隔離入院措置がとられています。

・米国における二次感染例の発生
 5月17日付け米CDC(アメリカ疾病予防管理センター)からの報告によれば、米国で確認された最初のMERS感染症例の調査で、イリノイ州の男性がMERSに感染していたと判明しました。この男性は、5月2日に米国で最初に確認されたインディアナ州の感染者と2回会っており、追跡調査の結果、感染が確認されたものです。現在、この男性の体調は良好と報告されています。米国では、MERS輸入症例発生の報告を受け、ウイルスの拡散を最小限にするため、大規模な複数州にまたがる調査と対策がとられています。

 5月15日付WHOの発表では、2012年9月以降に報告されたMERS感染例は計614例、うち死亡例は181例となっています。これには、5月10日から15日の間に、サウジアラビアから報告された41例が含まれています。

 MERSコロナウイルス感染者が確認されている国は次のとおりです:
 サウジアラビア、イギリス、イタリア、ヨルダン、フランス、チュニジア、カタール、アラブ首長国連邦、クウェート、オマーン、スペイン、マレーシア、エジプト、米国、オランダ

※ フランス、イタリア、チュニジア、英国では、中東への渡航歴がなく、感染確定患者や感染疑い患者と濃厚接触者との間で、限定的な地域内感染が見られています。

(2)WHOは5月14日、MERSに関する緊急会合を開催しました。同委員会では、MERSの流行状況は公衆衛生上の深刻さを増しているものの、現時点で持続的なヒト-ヒト感染を裏付けるものはないため、「国際的な公衆衛生上の脅威」には至らないと結論づけられました。しかしながら、同委員会は、公衆衛生上の懸念は大幅に増大しているとしており、最近の感染例の急激な上昇に対し、WHO加盟国に対して、この脅威に対する対策強化に努めるよう求めています。

2.MERSコロナウイルス感染について
(1)一般的にコロナウイルスは飛沫感染や接触感染で伝播し、風邪などの症状を引き起こします。通常その毒性はそれほど強くありませんが、ウイルスが変異した場合は強い毒性を持つ可能性もあり、注意が必要です。
コロナウイルスに対する具体的予防策は以下のとおりです。
● 休息、栄養を十分に取り、体に抵抗力をつける。
● 手指等の衛生保持に心掛ける。
● できるだけ人混みを避けるか、マスクの着用を励行する。
● 咳やくしゃみの症状がある患者とは、可能な限り濃厚接触を避ける。
● 温度の変化と乾燥しすぎに注意する。
● 高熱、咳、呼吸困難等の症状が見られた時は、早めに医師の診断を受ける。

(2)WHOでは、サウジアラビアへ渡航する巡礼者に向け、以下の暫定的な注意事項を公表しています。
その1:渡航前にしておくこと
・糖尿病、呼吸器疾患、免疫不全などの基礎疾患がある方は、一般的にMERSコロナウイルスを含む感染症にかかりやすいとされているため、渡航前に医療機関を受診し、相談してください。

その2:渡航中に注意すること
・一般的な衛生対策を励行しましょう。
石けんと水でよく手を洗いましょう。ハンド・ジェルなどの手指消毒薬の利用も有効です。
十分に加熱されていない肉や不衛生な食品を摂取しない、あるいは野菜やくだものは食べる前によく洗うなど、食品の衛生面に注意しましょう。
良好な衛生面の維持を心がけましょう。
農場の動物、家きん、野生動物を含め、動物との不用意な接触は避けましょう。
・旅行者に、呼吸器系疾患の症状(特に発熱、咳、呼吸困難を伴うもの)や、他にも下痢や嘔吐を伴う症状が現れたら、次のことを心がけてください。
 感染拡大を予防するために、他の人との接触は最小限にとどめましょう。
 咳やくしゃみをするときは口や鼻をティッシュペーパーで覆いましょう。また、使用したティッシュペーパーはゴミ箱に捨て、手をよく洗いましょう。ティッシュペーパーがない場合は、手ではなく衣類を用いましょう。
 同行している医療従事者または地域の保健当局に報告しましょう。

その3:渡航後に注意すること
・帰国後2週間以内に発熱・咳を伴う重症の急性呼吸器疾患の症状が現れた場合には、医療機関・検疫所にご相談ください。また、症状のある渡航者の濃厚接触者に発熱・咳などの症状が現れた場合には、速やかに最寄りの医療機関・衛生当局に報告してください。

○参考情報
国立感染症研究所感染症情報センター:MERS(マーズ)コロナウイルス(MERS-CoV)
 http://www.nih.go.jp/niid/ja/component/content/article/2186-infectious-diseases/disease-based/ka/hcov-emc/idsc/2686-novelcorona2012.html
MERSコロナウイルスによる感染事例に関するリスクアセスメントと対応」
 http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/alphabet/mers/2186-idsc/3631-mers-riskassessment.html
FORTH:中東に渡航する方へ <中東呼吸器症候群に関する注意>
 http://www.forth.go.jp/news/2014/04241138.html
WHO:Global Alert and Response/ Coronavirus infections http://www.who.int/csr/don/archive/disease/coronavirus_infections/en/index.html

(問い合わせ先)
○外務省領事サービスセンター(海外安全相談担当)
   電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902
○外務省領事局政策課(医療情報)
   電話:(代表)03-3580-3311(内線)2850
○外務省海外安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/
          (携帯版)http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp

(現地大使館・総領事館)
  ※上記外務省海外安全ホームページをご参照ください。(了)

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